どうも、意識低い系会社員のぽんたです。
まだコロナで市場が暴落する前の話ですが、友人からとある相談を頂きました。
友人曰く「職場の知り合いの知り合いの社長が開催する投資セミナーに誘われて、断りにくいけど詐欺だったら怖いから一緒に参加してくれ」とのこと
私はこの手のセミナーには全く興味が無いですが、無料であることと実際にこういうセミナーではどんな商品を勧めるのか?には興味があり、ありがたく参加させて頂きました。
当時、世界の株価はうなぎ登りであり、誰でも投資で儲かる時期だったので獲物が非常に釣り上げやすい状態であり、きっとしょうもない商品を勧めてくるだろう!とわくわくしました(笑)
セミナーの内容は以下のような感じでした。
- 老後2,000万円は普通に生きていたら貯まらない
- 普通の保険はクソ
- 保険の代わりに変額個人年金保険を積み立てましょう
- さらに今イケイケのテーマ型投資信託を買いましょう
中々上手い流れです。知らなかったら乗せられていたかもしれません。
実際、講師は調子良く儲かりそうなことばかり言っており、まんまと乗せられた友人はノリノリで契約しようとしていたので、無理やり会場から引きずり出しました。
理由は以下の通りです。
- 典型的な不安煽り商法
- 変額個人年金保険という劣化版確定拠出年金
- 超高手数料のテーマ型投資信託
各項目について、説明していきます。
典型的な不安煽り商法
前々から申し上げておりますが、無駄に不安を煽る奴は、信用しないでください。
不安を煽ってから、その不安を解決する魔法のアイテムを情弱に高額で売りつけたいだけの場合もあるからです。
ちなみにその魔法のアイテムはあなたの財布に穴を開けるアイテムです。
散々不安を煽った後に、高額情報商材や胡散臭い投資案件が出てきたら一発アウトで見限っていいです。
今回のセミナーでは、やはり第一声は
でした。
さらに質の悪いことに老後資金を残すために高額な保険加入は無駄、などと言った、説得力のある真実も混ぜてきており、巧みでした。
不安を煽りながら、説得力のある真実を混ぜることで、相手を信用させ、警戒を薄くし、その後に紹介する商品のダメな部分に目が向かないようにしているのだと思います。
こうして不安の力により、観客の興味を引いたあとは、講師のステージが始まります。
恐怖に心が潰されそうになった聴衆の元に蜘蛛の糸を垂らすのです。
変額個人年金保険という劣化版確定拠出年金

前述の通り、講師は事前にいわゆる通常の保険を散々批判しました。
聴衆の将来への不安と保険に対する怒りがピークを迎えたところで、満を持して紹介された救世主の名前は
変額個人年金保険
そうですね、分かりにくいですよね、私もよくわかりませんでした。
講師の商品説明はこのような感じでした。
- 月●万円で年●万円を自分で選んだファンドに積み立て投資して
- 60歳まで継続する
- 途中で契約者死亡の場合は積立金額返金+一時金
- 60歳からは運用益に応じて数回の年金を受け取れる
- 掛け金は生命保険控除の対象になる
- 元本は保証しない
- 60歳までに解約すると運用益が目減りする(!?)
なるほど、最後の条件が非常に気になりますが、確かに普通の保険よりマシかもしれない
ですがこれ、私程度の知識でも
確定拠出年金とつみたてNISAで良くね?
と言うことに気が付いてしまいました。
そう、結局のところ変額個人年金保険は名前がややこしいだけで中身は確定拠出年金やつみたてNISAと同じ投資信託です。
しかも、確定拠出年金やつみたてNISAのほうが、受けられる税制優遇が段違いに良いです。
ここから変額個人年金保険と確定拠出年金とつみたてNISAのおける税金の扱いを比較します。
変額個人年金保険の税制優遇
- 死亡給付金の非課税枠
契約者と被保険者が同一人の場合、死亡給付金の受取人が相続人であれば、一定の金額(500万円×法定相続人数)が非課税となります。 - 生命保険料控除
払込保険料は、払い込んだ年の「一般の生命保険料控除」の対象となる、最大40,000円-(所得税率+住民税率)つまり、年収330万以上なら減税額は10,800円まで減ります。 - 運用益が非課税
運用期間中の利益は課税が繰り延べされるが、受け取る際に全額課税されます。
確定拠出年金の税制優遇
- 掛け金が全額所得控除
年間掛金×(所得税率+住民税率)が控除される、年収330万以上の人で年間掛け金が144,000円の場合は年43,200円減税されます。また、当然ですが掛け金に応じて減税額はさらに多くなります。 - 運用益が非課税
運用期間中の利益は課税が繰り延べされる、受取り時に課税されるが…(事項に続く) - 一時金の受け取りが1500万円まで非課税
給付金を一括で受取る場合1500万円まで非課税対象となります。
つみたてNISAの税制優遇
- 運用益が非課税
最大20年間、投資総額最大800万円までの投資信託の値上がり後に売却した場合の利益が一切非課税となります。
以上、各サービスの優遇の違いを比較してみました。
もっと簡単に比較をまとめると
変額個人年金保険:年1万減税、本人受取時は全額課税、相続人は500万まで非課税
確定拠出年金:掛け金分税金が浮く、一括受け取り時1500万まで非課税
つみたてNISA:儲かった分、全部税金不要
どうでしょうか?
確定拠出年金やつみたてNISAの方が断然税金がお得なことが分かりますよね。
つまり、どう考えても変額個人年金保険やるくらい資金に余裕あるなら、完全上位互換のつみたてNISAと確定拠出年金を満額積み立てた方が断然お得です。
超高手数料のテーマ型投資信託

などと容疑者は意味不明なことを供述しており…
冗談はさておき(すみませんでした)、次にお勧めされたのはテーマ型の投資信託です。
海外の有名投資銀行の指示の元、世界の有名AI企業に投資すると言った内容でした。
実際の中身は、米国の誰もが聞いたことのあるアップルやマイクロソフトと言ったハイテク企業でした。
これらの投資先自体は別に悪くはありません、ハイテク銘柄は値動きは大きいですが、間違いなく成長分野ですし、暴落後の戻しが早いのも今回のコロナショックでも確認できております。(私はハイテクやAIに一極投資というのはどうにも苦手ですが…)
どちらかというと問題なのは、この投資信託の手数料です。パンフレットには
- 購入時手数料:3.24%
- 信託報酬料:1.24%
と、あり
買うだけで購入額の3.24%を取られ、持ってるだけで保有額の1.24%の運用費を取られると言うことです。(講師は手数料には触れませんでした)
ちなみに過去記事内の「2 つみたてNISA商品の決め方」の項目でも紹介していますが、つみたてNISAで買える投資信託は
- 信託報酬料の最も高い物で1.65%
- 信託報酬料の安い物は0.1%を切る
- 購入時手数料は全て無料
となっております。
また、投資信託において高い手数料の物も安い手数料の物も長期で見た投資成績はあまり変わらないことが多いです。
つまり手数料の高い投資信託を買うというのは、それだけ不利になる確率が高いということです。
また、どうしてもこれらのハイテク企業に投資する商品が欲しければ、自分で楽天証券やSBI証券等のネット証券口座を作って米国株のハイテクETFを買えばいいだけです。
例えば、バンガード・米国情報技術セクターETF(VGT)やインベスコQQQといったハイテクETFを買えば、安い運用費でマイクロソフトやアップルと言った超有名米国ハイテク企業に投資できます。
買い方は簡単です。
証券HPの海外株式の検索欄にVGTかQQQと入力して口数を指定して注文するだけです。
ちなみにこれらの経費率(運用費)はVGTが0.1%でQQQが0.2%です。
この時点で5%近い運用費を出して似たような中身の投資信託なんて買う意味が全く見当たりません、完全に情弱を狙い撃ちにした劣悪な詐欺商品です。
まとめ

友人に誘われて言った無料投資セミナーで勧められた投資商品は
- 確定拠出年金の劣化商品
- 米国ETFの劣化商品
でした。しょうもない商品ばかりで、予想通りの結果となり嬉しかったです。(笑)
いずれも、上位互換の商品やサービスが存在している高手数料商品であり、販売側だけが得をする商品といった印象でした。(というか旨味が無ければ手間とお金をかけて無料セミナーなんてやりません)
ちなみに、この無料セミナーで投資に目覚めた友人はどうしても、これらの商品を買いたいとのことだったので代替案として
- 確定拠出年金
- つみたてNISA
の運用を始めて頂きました。
インチキセミナーのお陰で友人を本当に良い物へ勧誘できて良かったです。
講師さん、ありがとうございました。
なわけねーだろw
てことで本記事を終わります(笑)
もし、今回の記事で、謎の高手数料商品でなく、確定拠出年金やつみたてNISAを始めよっかな?と思ってくれた方がいたなら、記事を書いた甲斐があったというものです。
それでは良き投資ライフを!