どうも意識低い系会社員ぽんたです。
今回はせっかく株価暴落中の今、買いたいお勧め米国ETFを紹介したいと思います。(現在は中途半端に株価回復して若干買いにくいですが…)
管理人の個人的にお勧めなETFは以下の二つです。
- HDV(iシェアーズ コア米国高配当株 ETF)
- VGT(バンガード・米国情報技術セクターETF)
どちらも非常に優秀なETFで米国株に投資している人なら誰でも知っているレベルです。
管理人のこの2つの保有目的はシンプルに言ってしまえば
- HDV:SPYD偏重リスクの回避
- VGT:高配当銘柄への偏重リスクの回避
です。つまり、ポートフォリオの分散目的です。全体としてはこんなイメージです。
- SPYDで超高配当、高リスクを取り
- HDVで好配当と中リスクを取りながら、SPYDに足りないセクターを補完して
- VGTで情報技術セクターを少し増やし、配当銘柄偏重も避ける
と言った考えです。これらのETFを
- SPYD 30%
- HDV 55~60%
- VGT 10~15%
程度の比率に分散して保有することで(割合は好みの問題です。)
- 投資先とリスクを分散しながら
- 平均3.4%程度の配当利回り
- そこそこの値上がり益
- 経済回復時の反発力
のような効果を期待できると考えています。
このポートフォリオの弱点としてはSPYDは銘柄が脆弱気味、VGTは過剰な人気で割高すぎることから、いづれも下落幅が大きいことが容易に想像でき、高値で買わないことを鉄則としています。
ですが、去年までは3銘柄とも異常な高騰を続けており、買えるタイミングが全くありませんでした。
しかし、ついに米国株は下落局面に入り(予想もしない形でしたが…)、今の管理人はこれらのETFを買い増ししたくてウズウズしております。
すみません、前置きが長くなりましたが今回の記事ではHDVについて解説していきたいと思います。
HDVとは?
HDVとは米国の財務状況が健全かつ比較的高配当な75銘柄に投資する上場ファンドです。(公式HP説明文をグーグル翻訳して修正しただけ)
ちなみに、このETFは高配当と安全性を両立するためになのか、銘柄をガンガン入れ替えることで有名でもあります。
そのため売買回転率が高すぎてパフォーマンスを下げているのでは?という意見もあるそうです。
管理人は後述しますが、ある理由によりHDVの売買回転率には目を瞑っています。(見えない振りをしています。)
また、補足として、前回のSPYDの記事で説明し忘れていたことを一つ説明します。
実はSPYD,HDV,VGTは手数料が安いだけでインデックスファンドではありません。スマートベータと呼ばれるETFでインデックスとアクティブの中間のようなETFです。
※公開時VGTをスマートベータと記載しましたが、修正しました。(2020/4/13)
スマートベータには明確な定義は存在せず、簡単に言えばテーマ型ETFのようなイメージでよいと思います。
ちなみに投資家御用達の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」によれば「スマートベータ戦略は少なくとも個人投資家にとって必ずしも賢明な選択とは言えず、すでにその効果が実証されている時価総額加重のインデックスファンドが依然として一番魅力的なのだ」との記載があります。
管理人ぽんたも投資歴の浅い貧弱投資家ではありますが、その通りだと思います。(偉そうですみません)
つまり、本ファンドへの投資はトータルリターンでは米国(S&P500)や先進国(MSCI)などの指数へ投資するインデックスファンドの成績を下回る可能性が高いです。
本ファンドへ投資をしたい方はその事実を念頭に置いた上で投資を行いましょう。
管理人もつみたてNISAと確定拠出年金で全世界株式と先進国株式インデックスファンドを積み立てた上での余剰金で投資しております。
HDVの各種数値
ここからは、本格的にHDVの中身を確認していきます。
以下はHDVの各種数値(4/10現在)
- 配当利回り:4.22%
- 経費率:0.08%
- 資産総額:6,300億円
- 52週下落率:-19.99%
なかなかの高配当かつ、低手数料で超高資産です。
次に同じ高配当SPYDの各数値(4/10現在)
- 配当利回り:6.76%
- 経費率:0.07%
- 資産総額:1600億円
- 52週下落率:-30.62 %
高配当という括りは同じですが、数値を見ただけでHDVの方が安全性において優位なのが分かります。理由は以下の通り
- 配当利回りは過剰に高くなく
- 資産総額はSPYDの約4倍
- 52週下落率も10%ほど低い
配当利回りが高すぎるのは、組入銘柄全体の異常な高配当化の可能性が考えられ、銘柄の減配、無配、最悪は倒産の可能性が薄っすらと想像できてしまいます。
資産総額は高ければ高いほど、運用資金に余裕があり、ETF自体の上場廃止リスクが下がります。見ての通りSPYDと比較してもHDVは非常に資産総額が高いです。これはSPYDの資産総額が低いわけではなく、HDVが高すぎるだけなのでSPYDホルダーの方は気にしなくていいです。管理人は気にしてません(笑)
また、同じ高配当ファンドで差が生まれる理由として、SPYDは高配当に特化しすぎて配当は圧倒的だが組入銘柄は下落に対して脆弱な物の割合が高いからです。新型コロナでその弱点が露わになりましたが、実は去年6月の調整局面でも下落傾向が顕著でした。
一方のHDVはファンドマネージャーが組入銘柄をチェックして財務に不安が出てきた場合バッサリと切って組み替えてしまうので同じ高配当ETFでありながら、52週下落率はSPYDの-30%と比べてHDVは-20%とマイルドなのだと思われます。
HDVの投資銘柄を見てみる
ここからは深堀りのため、組入銘柄を見ていきます。
SPYDの調査では全銘柄確認しましたが、HDVは上位30銘柄だけ確認しようと思います。
理由は面倒だから、ではなくHDVの上位10銘柄以下は保有比率がかなり低くなるため、全銘柄確認する必要もないかな、と思ったからです。(本当ですよ?)
管理人の場合はHDVに配当は当然として、そこそこの安全性を求めているため、本当に安全な構成か?を投資企業群を調べることで考察したいと思います。
またSPYDとHDVの投資セクターと比較をすることで、両ETFを組み合わせた場合の分散度合いを確認します。
少し長くなりますが、良ければお付き合いください。
確認内容をまとめると以下になります。
- 上位30位までの銘柄名
- 52週下落率(ディフェンシブさの確認)
- 配当利回り(減配または減配しそうな銘柄の確認)
- PBR(割安さの確認)
- 投資セクター
- HDVとSPYDの組み合わせ時分散効果の確認
それでは行きます。(データは4/8のものです)
ティッカー | 銘柄名 | セクター | 保有比率(%) | 52週下落率 | 配当利回り | PBR |
XOM | エクソンモービル | エネルギー | 10.31 | -47.48% | 7.93% | 0.97 |
T | AT&T | 通信 | 8.56 | -24.71% | 6.95% | 1.18 |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 7.28 | -7.28% | 2.65% | 6.34 |
VZ | ベライゾン・コミュニケーションズ | 通信 | 7.19 | -7.10% | 4.30% | 3.89 |
CVX | シェブロン | エネルギー | 6.77 | -32.48% | 6.00% | 1.12 |
PFE | ファイザー | ヘルスケア | 6.06 | -22.35% | 4.39% | 3.03 |
CSCO | シスコシステムズ | 情報技術 | 4.48 | -28.36% | 3.44% | 5.28 |
MRK | メルク | ヘルスケア | 4.29 | -11.90% | 2.98% | 8 |
KO | コカ・コーラ | 生活必需品 | 3.79 | -20.47% | 3.42% | 10.78 |
PEP | ペプシコ | 生活必需品 | 3.65 | -9.91% | 2.88% | 12.48 |
AMGN | アムジェン | ヘルスケア | 2.81 | -10.53% | 2.91% | 13.4 |
TXN | テキサス・インスツルメンツ | 情報技術 | 2.33 | -18.81% | 3.26% | 11.53 |
D | ドミニオン・エナジー | 公益事業 | 2.05 | -13.94% | 4.80% | 2.05 |
SLB | シュルンベルジェ | エネルギー | 1.84 | -64.65% | 11.57% | 1.01 |
SO | サザン | 公益事業 | 1.74 | -18.17% | 4.26% | 2.3 |
DUK | デューク・エナジー | 公益事業 | 1.74 | -17.62% | 4.42% | 1.34 |
USB | USバンコープ | 金融 | 1.58 | -41.66% | 4.71% | 1.05 |
TFC | トゥルーイスト・ファイナンシャル | 金融 | 1.57 | -42.55% | 5.50% | 0.66 |
COP | コノコフィリップス | エネルギー | 1.35 | -47.70% | 4.70% | 1.11 |
PSX | フィリップス66 | エネルギー | 1.24 | -46.88% | 5.65% | 1.13 |
WMB | ウィリアムズ・カンパニーズ | エネルギー | 1.18 | -47.61% | 10.43% | 1.39 |
BLK | ブラックロック | 金融 | 1.09 | -21.82% | 3.21% | 2.08 |
VLO | バレロ・エナジー | エネルギー | 1.02 | -49.41% | 7.59% | 0.97 |
KMB | キンバリークラーク | 生活必需品 | 0.94 | -11.12% | 3.22% | – |
AEP | アメリカン・エレクトリック・パワー | 公益事業 | 0.86 | -20.64% | 3.36% | 2.09 |
GIS | ゼネラル・ミルズ | 生活必需品 | 0.84 | -7.12% | 3.51% | 4.75 |
EMR | エマソン・エレクトリック | 資本財・サービス | 0.82 | -33.53% | 3.83% | 3.87 |
MPC | マラソン・ペトロリアム | エネルギー | 0.78 | -65.10% | 9.54% | 0.47 |
OKE | ONEOK INC | エネルギー | 0.76 | -66.30% | 14.13% | 1.76 |
ETN | イートン | 資本財・サービス | 0.75 | -24.24% | 3.64% | 2.06 |
こうして並べると、下落影響を受けている銘柄とそうでない銘柄が顕著に分かれていますね。PBRで見ても高い銘柄と低い銘柄できっちり分かれています。そして、やはりエネルギーセクターは顕著に悪いです。
SPYDの場合は組入銘柄のPBRが殆ど1.0倍以下だったことより、とにかく割安高配当銘柄を組み込んであることが見えました。一方HDVの投資先のPBRは多種多様であり、ただ割安高配当を入れているだけでないことが読めます。
以外なのは安全性を謳っているHDVですが、そこそこ危なそうなエネルギーセクターに結構集中投資していることですね。個人的にはもう少し比率を下げて頂きたいです。
エネルギーセクターの筆頭は大手石油メーカーのエクソンモービルとシェブロンであり、2銘柄で全組入銘柄の16%を占めていることから、エネルギーセクター自体に不安があっても、エクソンモービルやシェブロンほどの大手なら安全と判断し、配当利回りを高めるために組み込んでいるのかもしれませんね。
ですよね、今回もセクターでまとめます。
HDVのセクター情報
セクター | 保有比率 | 平均52週下落率 | 平均配当利回り | 平均PBR |
エネルギー | 25.33% | -54.22% | 8.58% | 1.1 |
ヘルスケア | 20.32% | -13% | 3.23% | 4.1 |
通信 | 16.21% | -18% | 4.80% | 3.1 |
生活必需品 | 9.64% | -13% | 3.07% | 17.4 |
公益事業 | 9.45% | -17.44% | 3.81% | 2.0 |
情報技術 | 7.47% | -23.72% | 3.53% | 8.4 |
金融 | 5.98% | -37.07% | 5.06% | 1.6 |
資本財・サービス | 3.11% | -22% | 3.37% | 4.4 |
一般消費財・サービス | 1.22% | -35.48% | 3.70% | 4.1 |
素材 | 0.61% | -30.98% | 4.52% | 2.4 |
セクターで見てみると一位のエネルギーセクター以下はヘルスケア、通信、生活必需品、公益(黄色枠)に投資しており、組入銘柄の55%はディフェンシブセクターとなります。
多少配当利回りを落としてでも比較的安定した銘柄を多数組み込んでいることが分かります。
また不況に弱いセクターの組入割合が低いことも読み取れます。
今調子の悪いエネルギーセクターに多く投資しているのになんでSPYDより下落率低いんだ?といった声も聞きますが、理由はセクターを見るだけで分かりますね。
それと、参考までにSPYDのセクター情報も貼ります。前回記事からの流用なので情報は少し古いです。(4/3情報)
SPYDのセクター情報
セクター | 組入比率 | 52週下落率平均 | 配当利回り平均 |
不動産 | 16.8% | -53% | 9.23% |
金融 | 12.5% | -56% | 8.41% |
一般消費財・サービス | 11.6% | -67% | 9.20% |
生活必需品 | 11.6% | -28% | 6.61% |
エネルギー | 10.5% | -61% | 10.28% |
公益 | 10.1% | -34.6% | 5.58% |
ヘルスケア | 8.1% | -20% | 4.64% |
素材 | 6.9% | -44% | 7.68% |
通信 | 6.1% | -32% | 7.53% |
情報技術 | 4.8% | -30% | 5.61% |
前回記事で説明したので再度説明はしませんが、見ての通り景気敏感セクター(黄色枠)への投資割合が非常に高いです。(エネルギーは本来景気敏感ではないですが、今回は加えました。)
しかし、メリットとしてHDVと同時に投資すれば、セクターが補完しあいますので分散が効いてあらゆる経済局面に対応しやすくなると考えます。(逆に言えば暴落時はHDVの防衛力を下げるとも言えますが)
以下は両ETFの投資セクターのみを比較した表です。
セクター | HDV組入割合 | SPYD組入割合 |
エネルギー | 25.3% | 10.5% |
ヘルスケア | 20.3% | 8.1% |
通信 | 16.2% | 6.1% |
生活必需品 | 9.6% | 11.6% |
公益事業 | 9.5% | 10.1% |
情報技術 | 7.5% | 4.8% |
金融 | 6.0% | 12.5% |
資本財・サービス | 3.1% | 0% |
一般消費財・サービス | 1.2% | 11.6% |
素材 | 0.6% | 6.9% |
不動産 | 0% | 16.8% |
黄色に塗られたセクターは互いに組入割合の低い物を補う関係になっています。
SPYDに足りない不況に強いセクターとHDVに足りない好況に強いセクターを補完していることから、SPYDとHDVはとても相性が良いことがわかりますね。(エネルギーセクターがダブってしまうことがネックですが)
以上のことより、管理人はSPYDのセクターを補う意味でHDVにも投資しております。
まとめ
情報が多くて散らかっているので、最後にHDVについて簡単にまとめます。
HDVの簡単まとめ
- 安全性と高配当の両立を目指したスマートベータ型ETF
- 圧倒的な資産総額で上場廃止リスクほぼ無し!
- 財務状況を判断して銘柄をガンガン入れ替える(売買回転率が高い)
- ガッツリ運用してるのに全然安い手数料
- 現状ディフェンシブセクターの投資割合が多く、不調なセクターを補っている
- SPYDと組み合わせると互いに補完関係になる
といった感じです。
ちなみに、最初に少し触れましたが管理人はHDV,SPYDに加えてVGT(バンガード・米国情報技術セクターETF)を僅かに加えて情報技術セクターの割合を高めています。VGTについては今後の記事で説明していきたいと思います。
以上、今回の記事はHDVの解説というよりは、解説+ETFの組み合わせ方のような内容になってしまいましたが、楽しんで読んでいただけたなら幸いです。
最後にしつこくなってしまいますが、スマートベータETFへの投資はインデックス型ETFや投信にトータルリターンで劣る可能性が高いです。また、今回の内容はHDVへ投資することで利益を得られることを保証するものではありません、くれぐれも自己判断で投資をして下さい。
それでは良き高配当ライフを!